野球をしていると、「投げる時だけ肩が痛い」「投球後にズキズキする」「肩の奥が引っかかる感じがする」と悩む方は少なくありません。特に10〜30代では、部活動やクラブチーム、社会人野球などで無理を重ねながらプレーを続けているケースが多く見られます。
しかし実際には、野球肩は単純な炎症だけで起きているわけではありません。肩の筋肉や腱だけを見る治療では改善しないケースも多く、身体全体の連動や神経・ファシアの滑走、姿勢や循環の乱れが関係していることがあります。
武庫之荘駅前整骨院サキュレでは、施術歴20年以上・8万回以上の臨床経験をもとに、FJA理論と姿勢循環整体を組み合わせた評価を行っています。痛みのある場所だけを追うのではなく、「なぜそこに負担が集中したのか」を全身から分析することで、再発しにくい身体づくりを目指しています。
野球肩で痛みが出る場所にはそれぞれ意味がある
肩の前側が痛い場合に多い投球エラー
野球肩で最も多いのが、肩の前側に痛みが出るケースです。投球時のコッキング動作で痛みが強くなったり、ボールを離す瞬間に鋭い痛みを感じたりします。
一般的にはインナーマッスルや腱板の炎症と言われることが多いですが、実際には肩甲骨や胸郭の動きが悪くなり、肩関節だけで無理に投げている状態が非常に多く見られます。本来、投球動作は下半身から体幹、胸郭、肩甲骨、腕へと力を伝える全身運動です。しかし骨盤や胸郭の回旋が不足すると、その負担を肩の前側が代償するようになります。
特にスマホ姿勢や猫背が強い選手では、肩が前方へ引っ張られ、神経やファシアの滑走が悪くなります。その結果、前側の組織に繰り返しストレスが加わり、炎症だけではない深い痛みへ変化していきます。
肩の後ろ側が痛む人に起こっていること
肩の後ろ側に痛みが出る場合、投球時の減速動作に問題があるケースが多くあります。ボールを投げた後、腕を急停止させる際に後方組織へ大きな負担がかかるためです。
このタイプでは、単純に筋肉が硬いというより、「関節の副運動」がうまく出ていないことがよくあります。FJA理論では、肩を動かす主運動だけでなく、関節内部で起きる細かな滑りや転がりを重要視します。この副運動が崩れると、肩関節内で動きのエラーが起き、後方組織へストレスが集中します。
また、後方の痛みは肩だけでなく、背骨や肋骨の可動性低下とも強く関係します。呼吸が浅く、胸郭が硬くなっている選手では、投球時に身体の回旋不足が起こりやすく、その結果として肩後方に負担が集中します。
肩の奥が痛い・抜ける感じがするケース
「肩の奥がズーンと痛む」「抜けそうな不安感がある」というケースでは、関節の安定性低下や神経制御エラーが関係していることがあります。
このタイプは、MRIで大きな異常がなくても強い違和感を訴えることがあります。実際には、筋肉が弱いというより、脳と筋肉の連携が乱れ、関節を安定させる反応が遅れている状態です。
FJA理論では、筋骨格だけでなく神経制御も重要視します。肩は非常に自由度が高い関節なので、細かな制御が崩れるだけで不安定感が生まれます。特に疲労が蓄積している時期や、フォーム修正を急激に行った時に起こりやすくなります。
なぜ野球肩は何度も繰り返してしまうのか
肩だけ治療しても改善しない理由
野球肩が長引く理由の一つが、「肩だけ」を治療対象にしてしまうことです。電気治療やマッサージで一時的に軽くなっても、投球動作そのものが変わらなければ、再び同じ場所へ負担がかかります。
投球動作では、下半身から生まれた力を体幹を通して腕へ伝える必要があります。しかし、股関節が硬い、骨盤が安定しない、胸郭が動かないなどの問題があると、そのエネルギー伝達がうまくいきません。結果として肩が代償動作を起こし、炎症や痛みを繰り返します。
特に成長期の選手では、身体の使い方が未熟なまま練習量だけ増えることがあります。その状態で肩だけケアしても、根本的な改善にはつながりません。
投球動作では全身の連動が必要になる
野球の投球動作は、単純な腕の動きではありません。足で踏ん張り、骨盤が回旋し、胸郭が開き、その流れの中で腕がしなることで、初めてスムーズな投球ができます。
しかし、どこか一つでも動きが悪いと、肩がその不足分を補おうとします。特に現代人は、スマホやデスクワークの影響で胸郭が硬くなりやすく、呼吸も浅くなっています。その結果、肩甲骨の動きが制限され、投球時の負担が増加します。
姿勢循環整体では、身体を一つのユニットとして捉えます。肩だけを見るのではなく、呼吸、姿勢、重力への適応、循環状態まで含めて整えることで、投球動作全体の効率を高めていきます。
神経やファシアの滑走障害が痛みを作る
野球肩では、筋肉だけでなく神経やファシアの滑走障害が痛みに関係していることがあります。
本来、神経や筋膜は身体の動きに合わせて滑らかに動いています。しかし、姿勢不良や過度な投球負荷によって滑走が悪くなると、動作時に引っ張られたり圧迫されたりして痛みが発生します。
特に「投げる瞬間だけ痛い」「ある角度だけ痛い」という場合、この滑走障害が関係していることが多くあります。FJA理論では、こうした微細な動きのエラーを重要視し、単なる筋力不足として片付けません。
施術では、無理に強く矯正するのではなく、身体が自然に反応しやすい環境を作りながら、本来の滑走を引き出していきます。
FJA理論では野球肩をどう考えるのか
痛みは「構造」より「動きのエラー」で起こる
FJA理論では、痛みを単なる構造異常として捉えません。もちろん損傷があるケースもありますが、多くの場合は「動きのエラー」が積み重なった結果として痛みが発生します。
野球肩でも、MRIで異常が少ないのに強い痛みが出るケースがあります。これは関節や神経、筋膜の連動が崩れ、身体がうまく動けなくなっている状態です。
そのため、画像だけでは分からない「動きの質」を評価することが重要になります。
主運動と副運動のズレが肩へ負担をかける
肩を上げる、投げるという大きな動きが主運動です。しかし実際には、その裏で関節内部では細かな滑りや回旋が起きています。これを副運動と呼びます。
副運動が正常に起こらないと、肩関節内で摩擦や引っかかりが起き、結果として炎症や痛みにつながります。
FJAでは、この見えにくい副運動を細かく評価し、どこで動きのエラーが起きているかを探していきます。
TFM・AFR・JICによる評価とは
FJA理論では、TFM・AFR・JICという考え方を使いながら評価を行います。
TFMでは組織の反応性や滑走状態を確認し、AFRでは身体の適応反応を見ていきます。そしてJICでは関節間の連動や制御を分析し、どこでエラーが起きているかを判断します。
これは単純な筋力検査とは違い、「身体がどう連動しているか」を見る評価です。そのため、肩以外に原因が隠れているケースも多くあります。
姿勢循環整体が野球肩に必要な理由
投球フォーム以前に身体の土台が崩れている
フォーム改善は大切ですが、そもそも身体がうまく動けない状態では、正しいフォームを維持することはできません。
例えば骨盤が不安定な状態では、下半身からの力が伝わりにくくなります。その不足を肩が補えば、当然負担は増えていきます。
まずは身体全体の土台を整えることが重要です。
呼吸・胸郭・骨盤が肩の動きに影響する
呼吸が浅い選手では、胸郭の柔軟性が低下しやすくなります。すると肩甲骨の動きも悪くなり、肩関節だけで投げるような状態になります。
また、骨盤の傾きや体幹の安定性も肩の負担に大きく関係します。
姿勢循環整体では、呼吸・胸郭・骨盤を含めた全体調整を行い、投球しやすい身体環境を作っていきます。
血流・リンパ・神経循環が回復力を左右する
回復には循環が必要です。
どれだけ良い施術をしても、血流やリンパ循環が悪ければ、疲労物質は残りやすくなります。さらに神経循環が低下すると、筋肉の反応性も悪化します。
特に投球数が多い選手では、循環低下によって慢性炎症化するケースも少なくありません。
野球肩でやってはいけない対処法
痛み止めだけで投げ続ける危険性
野球肩で多いのが、「試合に出たいから」「レギュラーを外れたくないから」と痛み止めを飲みながら投げ続けてしまうケースです。確かに薬によって一時的に痛みは軽減します。しかし実際には、“治った”のではなく、“感覚が鈍くなっているだけ”ということも少なくありません。
痛みは身体からの警告サインです。本来であれば、「この動きは危険」「これ以上負担をかけると壊れる」という情報を脳へ伝えています。しかし痛み止めで感覚を抑え込むと、その警告を無視したまま投球を続けることになります。
特に怖いのは、フォームが崩れた状態で投げ続けてしまうことです。肩に問題があると、人間の身体は無意識にかばう動きを作ります。すると肩だけでなく、肘、首、腰など別の場所へ負担が広がっていきます。実際に、「最初は肩だけだったのに、肘まで痛くなった」という選手は非常に多く見られます。
強く揉む・無理なストレッチの落とし穴
肩が痛いと、「硬いからほぐそう」と考える方は少なくありません。そのため、強いマッサージを受けたり、無理に肩を伸ばしたりするケースがあります。しかし野球肩では、それが逆効果になることもあります。
特に投球障害では、単純な筋肉の硬さだけでなく、神経やファシアの滑走障害、関節の制御エラーが関係している場合があります。この状態で強く刺激を入れると、身体が防御反応を起こし、逆に筋緊張が高まることがあります。
例えば、肩の後ろが硬いからと無理にストレッチを繰り返すと、一時的に動きやすく感じることがあります。しかし実際には、肩関節を安定させるために必要な緊張まで失われ、投球時に肩が不安定になるケースがあります。
フォーム修正だけで解決しない理由
野球肩になると、「フォームが悪い」と言われることがあります。もちろん投球フォームは重要です。しかし実際には、“フォームは結果”であって、“原因”ではないケースも少なくありません。
例えば、股関節が硬い、体幹が不安定、胸郭が回旋しないといった問題があると、身体は無意識に投げやすい形を探します。その結果として、肘下がりや開きの早さなどのフォームエラーが起きます。
FJA理論では、フォームよりも先に「身体が正しく連動できる状態か」を重視します。主運動だけでなく、副運動、滑走、神経制御まで含めて評価し、まずは“動ける身体”を作ることが重要だと考えています。
また、姿勢循環整体では、呼吸や重力への適応も含めて全身を整えます。身体の土台が安定すると、無理にフォームを意識しなくても自然と投げやすくなるケースは少なくありません。
本当に必要なのは、「フォームを直すこと」ではなく、「フォームを崩さなくても投げられる身体環境」を作ることなのです。





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